キャリア形成の上で、論文の出版数は重要です。研究者の世界では、「早いうちからどんどん出版する」ということが常々言われています。ですが、出版した論文の被引用回数も、研究がその分野にもたらしたインパクトを示すものとして重視されます。
研究費提供機関が助成金について決定を行う際には、往々にして論文の出版数とともに被引用数もあわせて考慮しますので、論文の被引用数を上げることができれば、キャリア形成にもプラスとなり得ます。
論文の被引用数を上げ、インパクトを最大化するために考慮すべき10の簡単なテクニック
- 新規の論文原稿において、関連する過去の論文を引用する。ただし、単に被引用数を上げるだけのために、過去に書いた論文の全てに論及したりしてはいけません。
- キーワードの選択は入念に。出版した論文がデータベースの検索結果に表示されることとなるよう、同じ研究分野の研究者が検索の対象にしそうなキーワードを選びましょう。
- 選択したキーワードやフレーズを論文タイトルに使うとともに、論文要旨でも繰り返し使用する。キーワードやフレーズを繰り返し使用することで、検索エンジンによる検索結果リストのトップにご自分の論文が表示される可能性が高くなり、したがって論文を読んでもらえる可能性が高くなります。
- 全ての論文に一貫して同じ氏名表記を使用する。全ての論文に(ミドルネームの有無や省略表記のような点を含めて)同じ氏名表記を使用することで、これまでに出版した全ての論文を他の研究者が探しやすくなります。同姓同名の多いお名前の方は、ORCIDのような研究者IDを取得することも一考に値します。ORCIDをメールの署名に付し、出版業績リストにリンクさせることで、メールの受信者が誰でもこれまでの出版論文にアクセスできるようになります。
- ご自分に関する情報の正確性を確認する。原稿の最終校に氏名や所属が正しく記載されているかチェックし、データベース検索に掲載された論文の情報が正確かチェックしましょう。
- 論文原稿が容易に入手できるようにする。オープンアクセスジャーナルに未掲載の論文については、出版前又は出版後のコピーをリポジトリに投稿しましょう。出版済み論文の投稿に当たっては、SHERPA RoMEOで、出版済み原稿の共有に関して関係出版社が著作権やセルフアーカイブについていかなる方針をとっているかを確認してください。
- データをシェアする。データをシェアすることによって、論文の被引用数が高くなることを示す数字もあります。データをfigshareやSlideShareのようなデータ共有サイトに掲載することや、Wikipediaに寄稿して出版した論文原稿にリンクを貼るといったことも考えてみましょう。
- 論文を会議で発表する。会議での発表は、他の研究者による引用の対象にはなりませんが、ご自分の研究を学界、研究界により広く知らせることにつながります。次回の研究会議で最大の効果を上げるためのアドバイスも参考にしてみてください。
- ソーシャルメディアの活用。ソーシャルメディア(例:Facebook, Twitter, Academia.edu, ResearchGate, Mendeley)や大学のプロフィールページなどから、論文掲載サイトにリンクを貼りましょう。
- 積極的な宣伝活動。異なる研究分野の研究者も含め、他の研究者にご自分の論文について話をしたり、興味をもってくれそうな研究者に論文のコピーをメールしたり、研究活動についてのブログやウェブサイトを開設してシェアしたりということもしてみましょう。
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