人間は、誰も孤島ではない。いかなる人も、大陸の一片であり、主要なものの一部なのだ。 ― ジョン・ダン、Meditation XVII (1624)
変わりゆく研究
20世紀初期、科学研究は一人の研究者とその助手によって行われることが多く、単純でしっかりと管理されたものが主流でした。それ以来、科学の様相は大きく変化しました。例えば1950年にはMEDLINEやPubMedの引用あたりの平均著者数は1.5人でしたが、20世紀末には4人に増えており、その数は今も着実に増え続けています。興味深いことに、論文ごとの著者数と出版物のインパクト(影響力)にも正の相関があります。実際に、近年で最も影響を与えた論文の一つであるヒトゲノムの配列決定に関する論文(sequencing of the human genome)には200人以上の著者がいます。
ではこのすべての情報から、研究がどのように変化しているかについて何が分かるでしょうか?ひと言で表すと、より複雑な問題に取り組み始めるにつれ研究は共同化が進んでいるということです。トランスレーショナル医療(探索医療、先端医療)やシステム生理学といった多くの新しい分野には学際的なコラボレーションが求められています。資金が減り続けている中、政府や産業、民間の助成機関は、複数のプロジェクトを支援するよりも、費用対効果が高いことから共同研究を勧めるのが一般的です。もちろん、助成機関を惹きつける研究成果の商業化や基礎研究の臨床への応用には学術研究が必要です。
21世紀のコラボレーション
明らかに21世紀の科学界では協力関係は不可欠で、このような関係を作り上げるための鍵は効果的なコミュニケーションです。しかし、科学における普遍的な共通言語は英語であるものの、世界のトップ研究者の多くは英語ネイティブではありません。彼らは専門知識があるにも関わらず、英文ジャーナルの編集者や査読者に研究結果を伝え、その新規性を強調することにおいては、大きな不利益を被ります。残念な真実ですが、研究プロジェクトの影響や重要性は単純なコミュニケーション・バリアのために曖昧になってしまう可能性があるのです。
ジャーナルの言語基準
適切な英語で書かれていない論文は、リジェクトされてしまうことがよくあります。実際、ほとんどのジャーナルのウェブサイトにある「投稿規定(Instructions to Authors)」には、ジャーナルの言語基準を満たしていない投稿論文は編集者によってリジェクトとなる可能性があると記載されています。英語の使い方が悪いために論文に書かれている実験が理解できないと、それは査読者にとってストレスになります。著者にとってもリジェクトや再投稿により出版が遅れてしまい、貴重な時間や資金、労力を費やすことになります。
最近のScience Citation Index Expandedに収録された記事の約96.94%は英語で書かれています。つまり英文ジャーナルで論文を出版できない研究者は、世界の科学研究から事実上排除されてしまうのです。
非英語圏(ESL/EFL)の著者による重要な貢献
AJEのミッションは、研究者の論文出版を支援することで国際的な研究が注目される機会を与えることです。私たちは、英語を話さない著者が研究コミュニティ全体に大きな貢献をしていることを認識しています。これまでも科学は国際的な努力のおかげで実を結んできましたが、近頃は多くの国が科学技術の研究に多額の投資をし始めています。例えば、中国はナノテクノロジーの研究に多額の投資をしている一方で、トルコの研究開発費は大幅に増加しています。実際、中国は年間の科学論文の発行数はアメリカを超えて現在トップです。
国際的な話題に加わる研究者がますます増えている中、AJEは英語を話さない著者が研究成果を明確かつ効果的に伝えるための支援をすることを目標としました。そのようにして、私たちは現代の研究に必須となっているコラボレーションの促進を目指しています。
おわりに
AJEの詳細についてはこちらをご覧ください。英文校正や原稿のフォーマット調整、ジャーナル推奨サービスを通して、一緒にミッションを達成しましょう!