このAJE Author Resource Centerで頻繁に議論されているように、学術英語は日常英語とは違います。学術的ライティングの慣例の多くは、日常会話で使われると固過ぎ、あるいは距離を置き過ぎているように聞こえます。そして英語の数え切れないほど多いボキャブラリーは著者に自由を与えますが、読者を念頭に入れることが常に大切です。
今日、研究者の少なくとも50パーセントはアメリカとヨーロッパ以外の地域の国々に住んでいます。これらの研究者は、自己の研究を進めるために科学的コミュニケーションの記述に頼りますが、これらの記述は英語で書かれている場合が圧倒的に多いのです。研究論文が可能な限り多くの読者に理解されるためには、英語を第二の言語としている人たちが理解できるように書く必要があります。
では、世界各国の読者を念頭に入れて書くには、どのようにすればよいのでしょう?
センテンスを短くする
英語を第二の言語とする人たちが理解できるように書く方法はいくつかありますが、大方シンプルな文法の構成で書くことです。まず長いセンテンスを書くのは止めましょう。20語以上の文章は、英語が流暢でない読者を当惑させることになるでしょう。16語までにするのが望ましいと思われます。センテンスを構成し直すか、複数のセンテンスに分ける(英語の記事にリンク)と良いでしょう。
他の言語において稀な文法の構文を避ける
いくつかの文法的構造は英語以外の言語では稀れ(あるいは皆無)なことがあります。二重否定と偽の主語は2つの例です。二重否定はスペイン語などの外国語が流暢の人には、実際反対の意味と取られることもあります。スペイン語では2つ目の否定は強調の役目を果たすのです。例えば、英語のフレーズ“not uncommon”は「ある程度平凡」を意味しますが、「非常に非凡」と取られてしまうこともあり得るのです。
いわゆる偽の主語(“It is…” または “There are…”))で始まるセンテンスも困惑させるかもしれません。この場合、読者はその文頭の代名詞である先行詞を定義しようと困惑するかもしれませんが、実際先行詞は定義できないのです。
多数の単語からなる動詞(英語の記事にリンク)であるフレーズ動詞もまた潜在的な落し穴です。それを一語(例えばを“cut back on”を“reduce”、あるいは“put up with”を“tolerate”)で言い換えると混乱が避けられます。英語には数多くの前置詞があり、それらを前置詞としてではなく他の文法表現で使うとより難しく感じられてしまうのです。
余分な単語を避ける
同じように、連続する短い単語も理解されにくいです。というのは、しばしば英語に堪能でない者によって各単語が一語一語通訳、あるいは翻訳されてしまうからです。“in order to”や“for the purpose of”のようなフレーズは簡潔化されるべきです(しばしば“to”や“for”で十分です)。正式なライティングで文法的には正しく適切である「受動態」も同じように、少なくて済むところをより多くの単語を使うことになってしまいます。
下の表は、余分な単語を含んだフレーズやセンテンスの追加例を示しています。
世界中の読者のために書く理由
また言語バリアは、レビューアーのコメントを意図された以上に批判的に受け取るという結果を生むことがあります。レビューアーが(上にあげた提案に従って)明確な英語で書けば、それは世界各国の著者との議論を向上させることになるでしょう。言語に基づいた正確なコメントによってまず著者の問題を軽減することは、著者が自分の研究に対する示唆や問題提起をより丁寧に考慮することにつながるでしょう。
母国語で研究を発表することすらとても難しいことですが、第二言語でそうする著者には難題が追加されることになります。著者のためのガイドラインを示すジャーナルのライターであれ、フィードバックを提供するレビューアーであれ、研究成果を記述する著者であれ、世界各国の読者のためのライティングは、全リサーチコミュニティがより速くより効率的に新発見を展開させることにつながるでしょう。
追加の読書
この文章は、筆者が*Learned Publishing* (“Understanding the needs of international authors” Learned Publishing 26(2):139-147)。に発表した査読済みの記事を改めたものです。全文はこちらからアクセスできます。