共同研究という性質と、研究チームのダイナミックな特性により、科学者たちはしばしば、他の研究者に代わって研究結果を提出することになります。例えば、主任研究者(PI)として、助成金申請書に研究室メンバーの方法や結果を含める必要があるかもしれません。あるいは、大学院生、ポスドク研究員、主任研究員として、他の研究室との共同研究、元研究室メンバーとの共同研究、学部生などの経験の浅い著者との共同研究に基づく原稿を書かなければならないこともあるでしょう。このような場合、他者の研究内容について執筆するか、または自らの執筆内容と他者の寄稿を統合することになるかもしれません。このように、結果の収集や分析から原稿をまとめるまでの間に断絶が生じる可能性があり、適切に対処しなければ、不正確さや倫理的な問題につながりかねません。
少なくとも部分的に他人の研究に基づいた論文や助成金提案書を作成しやすくするためには、適切な記録管理が極めて重要です。あなたが主任研究者であれば、チームメンバーに対し、学生や職員が退職した後も保存できるよう、すべての研究について詳細な記録を保持するよう義務づけるべきです。具体的には、材料、方法、結果(生データを含む)および分析結果を読者が理解でき、書面であれ実験台であれ実験を再現できる可能性があるように文書化する必要があります。研究主任はまた、研究の適切なデータ収集、保存、保護について、所属機関の研究倫理に関する方針に従うことが求められることもあります。さらに、チームメンバーが研究室を離れる場合は、その人の実験ノートやデータファイルの所在と、必要な場合の連絡方法を確認しておきましょう。
共著者がまだいる場合は、正確さと明瞭さを高めるために、執筆前や執筆中に、その方法論、所見、結論について口頭や文書で徹底的な説明を求めることも必要です。もし他の誰かが書いたテキストを自分の文章に組み込む必要がある場合にも、このコミュニケーションは役立ちます。特に、積極的に協力することで、共著者の研究室での作業や執筆した文章を誤解しないようにすることができます。このような協力的なアプローチは、たとえあなたが実際の執筆を担当したとしても、異なる分野の研究室と共同研究を行った場合には特に有効です。その結果、より正確で明確な原稿が得られれば、最終的に査読が容易になり、出版が早まる可能性があります。
国際医学雑誌編集者委員会(International Committee of Medical Journal Editors:ICMJE)が定めた著者資格に関する指針により、倫理的な観点から、可能な限り共同研究を促進し、他人のために研究結果を提出する際の正確性を確保することが決定的に重要です。具体的には、論文の著者資格を得るには、以下の4つの基準を満たす必要があります。
- 研究の構想・設計、データ収集、データ解析・解釈に大きく関与していること
- 原稿の起草または改訂に関与していること
- 最終版の掲載を承認していること
- 研究のあらゆる側面の正確性と完全性に対する責任
そのため、たとえ著者の一人だけが執筆の大部分または全部を行ったとしても、すべての著者が原稿の作成と承認に関与すべきであり、共同研究の重要性がさらに強調されます。このレベルの参加が不可能な場合は、代わりに原稿の謝辞欄に同僚の研究への貢献を記すべきです。
さらに、第4の基準に基づけば、著者はデータ収集から出版まで(そしてそれ以降も)、研究プロジェクト全体に対する説明責任を共有します。つまり、共同研究者が独自に関連実験を行ったり、原稿の簡単な部分しか書かなかったり、その人の研究分野の専門知識がなくても、その人の研究について書かなければならなくなったとしても、いかなる誤りに対しても道義的責任を負うということです。報告ミスが発見されなければ、他の研究者が追跡研究を行うのを妨げたり、余計な分野を調査させたりして、時間と資源を浪費することになります。発見された場合、正直な間違いであっても撤回につながり(撤回の約20%は間違いによるものです)、研究者の信頼性に影響します。
まとめると、同僚の技術や研究結果を本人に代わって出版することは、倫理的な意味合いを伴う可能性があるということです。継続的で明確なコミュニケーションは、おそらく最善の戦略であり、論文と直接の対話の両方で行うことで、あなた自身と科学コミュニティの両者が研究の共同作業から最大限の利益を得ることができます。